ホロコースト~ 目をそらしても尚。
ホロコーストとは、第二次世界大戦中の国家社会主義ドイツ労働党(ナチス党)率いるナチス・ドイツがユダヤ人などに対して組織的に行った大量虐殺を指す。 —ウィキペディアよりー
今も心傷つけるアウシュヴィッツ強制収容所の存在
ヨーロッパに旅立つに際し、とても悩んだことがあります。
それは、ポーランドの古都クラクフを訪ねる時
一時間半ほどで行ける「アウシュビッツ強制収容所」に足を延ばすか、否か!
ナチスやホロコーストについては、決して目をそらしてはいけないこと。
悲惨な歴史があったのは決して忘れてはならないこと。
アウシュヴィッツ強制収容所については、
数年前にかなり詳しいテレビ番組をみて衝撃を受けていました。
その映像は何年たっても、記憶から去らない強烈なものでした。
そんな悲劇の現場を興味本位で、見学(見物)することにも違和感がありました。
そして、自分の神経を傷めつけることをも恐れました。
結局、悩んだ末もう知っているのだから、行く必要はないと結論づけたのです。
決して、消えることのない悪夢の傷跡
第二次世界大戦時のナチスドイツの支配力は
ヨーロッパ全土を席巻していました。
ヨーロッパを旅していると嫌でも、その傷跡に触れずには済みません。
ハンガリーの首都ブダペストの名所、鎖橋の見えるドナウ川のほとり。
遊歩道に並ぶ銅の靴は、かつてのユダヤ人の大量虐殺の記念モニュメントだとか。
ユダヤ人を川辺に立たせ、勿体ないので靴を脱がせ後ろから銃殺したのだそうです
そんな、悲惨な過去を忘れないように靴が置かれたと言います。
ドイツのベルリンにあり、ユダヤ人の受難を負の遺産として
語り継がれるであろうモニュメント施設。
お墓とかではなく、ただの無機質な箱の羅列で不気味ですが
ユダヤ人が味わった恐怖や絶望感をどれだけの人が感じ取れるのでしょうか?
ベルリンには、ユダヤ博物館もあります。
ユダヤ人被害者の遺品の展示があるそうです。
人の愚かさと傲慢さ、そして苦渋の過去を記憶にとどめ
決して、繰り返されることのないようにとの祈りは大切です。
どうだろう? そうは言っても
あまりの残酷さには、あえて触れて自分も傷つかなくてもいいかな~と思う。
命をかけて正義を行う人達がいたんですよね~
ヨーロッパを旅する間は、なるべく嫌な物から目を背け
あえて触れないようにしてきたわたしです。
そのことが、なにか心の引っ掛かりになっていたのかも知れません。
先日、ある書物に目が留まり、手に取らずにはいられませんでした。
それは
『ユダヤ人を命がけで救った人々』~ホロコーストの恐怖に負けなかった勇気
( 出版元ー河出書房新社 )
内容は主に、ナチスドイツの狂気から
迫害対象のユダヤの人々を匿ったり、逃がしたりして助けた人たち。
助けられた当事者、あるいは見聞きした人などの証言集の構成です。
深く読み込んでいくと、単に上っ面の同情だけですまない
考えさせられる問題をはらんでいることに気がつきます。
・人としての愛を説くキリスト教圏でなぜ起きたのか?
・民族の絶滅を目指すほどの差別感情を多くのドイツ人が持つに至ったのはなぜか?
・わが身の危険を顧みず救出に尽力できた人と、そうでない人の差とは?
・95%のユダヤ人を救ったデンマークやフランスのシャンボン村などがあるが
一方で、90%のユダヤ人を見殺しにした地域との差とは?
・飢えた人、恐怖に震える人に門戸を閉ざす時代の背景と人心とは?
・あえて抵抗をしないで、死を選ぶユダヤ人がいたのは?
・ドイツの軍人でありながら、ユダヤ人を助ける協力をした人の原動力とはなにか?
・敗戦のあと、ナチス幹部の処分が軽い、あるいは対象者が少ないのはなぜか?
沢山の疑問にキリがありません。
悲惨な歴史との認識があっても、深く知ろうとしてこなかったから
いまさらに背筋の凍る思いをしたり、素朴な人たちに心温まったり・・・
日本人としては、キリスト教圏の人たちとは宗教観が全く違うので
理解を超える部分もありますが
究極は、宗教は関係ないんですよね~
人としてどうなのかに尽きるんではないかと思います。
全ての差別や、いじめ、ハラスメントの根本が
ここに集約されているように思えてなりません。
わたしのヘタレ根性の話をしようと思ったのに
重苦しく、堅苦しい話になってしまいました。m(__)m
尚、訳者のあとがきに~
20年前に初版が出て間もなく、出版社が倒産し本は市場から消えてしまった。
再刊にあたり埼玉医科大学国際医療センターの大西秀樹教授の
強い口添えがあった。~とあります。