ヨーロッパの物乞い~記憶の奥に澱む憂い
楽しい旅にもある翳りの部分
旅はあこがれのものや、未知のものと出会わせてくれる。
綺麗なものを見て、美味しいものを食べて
日常と違う雰囲気の中に身を置き、いつもと違う自分に出会う。
旅にはいろんな魅力があります。
時間と手間をかけ、お金をかけ、ちょっとした勇気と共に
行動を起こさねばなりませんが。
海外事情に精通している人ならどうだか知りませんが
たま~に、やっとこ行くわたしのような者は
時に、見たくないものを見、知りたくなかった面を垣間見ることもあります。
ヨーロッパに増えつつある物乞いもそのひとつ。
移民の増加に依るところもあるでしょうが
どこの街角でも、あるいは駅構内に、乗り物に、寺院の門前にも・・・
その人たちは、どうしても目に留まります。
タイなど後進国でさえ・・
数年前タイに行ったときは、
国が貧しいから、生活に困窮してる人もいるはず・・・
そのように信じていたので、ホテル近くで座ってる、あるいは寝そべってる人に
通るたびに、ホントに僅かですがお金を渡しました・・・当たり前と思って。
しかし、そんなタイでさえ、
人身売買の危険をはらんだ貧困ビジネスの可能性があります。
もちろん、詳しい事情など全く知らないのですが
本当に困った人は「ホームレス一時宿泊施設」で最長17日間過ごせるとか。
なんですから、福祉の体制も皆無という訳じゃないようだし。
記憶はもう曖昧になっていますが、
タイにしたって、それ程物乞いの人の数は多くなかったような・・
人通りが多すぎないところにひっそり、座っていた気がします。
目を背けながら、胸を痛めて!
今年の3月から6月までヨーロッパをほっつき歩きましたが
ヨーロッパの都市は、どこに行っても物乞いがいないところはありませんでした。
それこそ老若男女、食い詰めたような老人から、
無計画な旅の途中で金欠になった人まで。
しかし、何といっても一番多く、不思議だったのは若者の物乞い!
男性もいましたが、圧倒的に20代と思しき女性たち。
それぞれの国の福祉や就業環境も知らなくて、語れるはずもないのですが。
どうしても「なぜ働かないの?」と思ってしまいます。
そもそも、旅に出る前に
そうした「物乞いにお金を与えてはいけない理由」の記事を読んでいたので。
その理由とは、ひと言でいえば、先に書いた貧困ビジネスです。
悪い人が、弱い人を使う・・・
そして人身売買をも含む問題なんだとか。
物乞いの数は本当に多くて
いつものように目をそらしても、そらした方にも物乞いがいる・・・な~んて。
でも、現状を理解できている訳ではないので
「本当に困っている人だったらどうする?」という問いがいつもあって
苦しかった。 人の心配ができる程豊かでもないのに・・・(*_*)
やむに已まれないってこともあるよね~
いっさい物乞いにはお金をあげない・・・そんな身分でもないんだから・・
と決めていても、どうしても気持ちを治めらないこともあります。
スペインマドリードのデル・ソルでのこと。
近くのデパ地下で買ったドーナツが口に合わなくて
捨てるなんてもったいなくて、短絡的に物乞いの人にあげようと思ったわけです。
見渡せば何人もいる物乞いの人。
体調が悪そうに見える70歳前後の小さいおじいさんにしよう!
顔色も悪くて、ヨロヨロと足元もおぼつかない様子。
ドーナツだけ渡すつもりが、ついお金も添えてしまいました。
小さく投げキッスされたのは、ちょっと気持ち悪かったな~
帰国を前にしたフランクフルトでのこと。
フランクフルト中央駅前から続く、カイザー通りを歩いていると
歩道の脇に座っている物乞いの女性が顔を覆っています。
そんな人は見たことがなかったので、怪訝に思って振り返って良く見ると
臨月くらいのお腹です。結局、戻ってやや多めのお金をあげて
尚、その姿が忘れることができず、いつまでも心が痛かった!
他にも幾つか中途半なことをしてます。
そうすると、心に引っ掛かりながらあげなかった人達もいる訳で・・・
なんとも後味悪く、重い気持ちを抱えてなくてはなりません。
人である以上、まったくの見てみない振りって難しいのですよねぇ~ (-_-)
考えても答えが出る気はしないけど・・・・・