木曽路を行く ～馬籠宿その➀ひたすら上る坂道。
今は昔 険しい山を越え、谷を渡った木曽路
中山道は江戸時代の五街道のひとつ。
東国、江戸と西国、京を結び全行程は540㎞におよび
69ヶ所の宿場が置かれ、そのうちの11宿が木曽にあったそうです。
中山道は、その険しさにもかかわらず往来が多かったのには
同様に京と江戸を結ぶ東海道が
大井川などの川越や箱根峠などの交通難所が多いのに加え
「入鉄砲出女」の取り締まりの厳しかったことに理由があったようです。
また、将軍家に献上する宇治茶を運ぶためのお茶壺道中や
和宮の将軍家お輿入れなど姫宮方の通行にも利用されました。
さきに公開した、奈良井宿に続き、更に奥に入り
馬籠宿へと足を延ばしました。
再生の宿場町～馬籠宿
馬籠宿は中山道69次のうちの43番目の宿場で
木曽11の宿場町の一番南に位置します。
1915年(大正4年)の火災により、古い町並みは石畳を残して
すべて焼失してしまい、その後復元され現在の姿になったということです。
馬籠観光はバス停のすぐそば、下入口から・・・すぐに坂道が始まります。
馬籠は坂に沿って展開する宿場町なのです。
坂の始まりにJAのお店、その脇に農家の人が野菜を持ち寄ると思しき
野菜の無人販売所が設置されています。
防火用水も、いかにも江戸時代調で、雰囲気たっぷり。
坂道を登り切って、道を横切るとまた坂道。
いわゆる枡形の道という訳です。
極端に曲げられた街道は敵の侵入を難しくするために設けられたもの。
坂を登りきる馬籠峠までの中腹のあたりに
馬籠の旧本陣であった島崎藤村の生家があるのですが、ここに案内板が出ています。
馬籠宿のシンボル、水車小屋の休憩所。 中に入ってみます。
古い時代の家の中の設え、そして水車の内部の様子を見ることができます。
ひと休みしたら、水車横の階段をのぼり、さらにうえの方に。
坂に次ぐ坂。 お年寄りにはちょっと大変かも～
でも、周りの雰囲気を楽しみ、お店などを眺めながら
ゆっくり歩けば苦にはなりません。
道に沿って流れる水も澄んでいて、清々しい気分を高めてくれます。
途中資料館があったり、造り酒屋があったり。
観光案内所では、トイレを借りることもできます。
郵便局、絵ハガキをだせば馬籠の消印が期待できそう。
観光案内所の、道をはさんだ向かい側には、島崎藤村記念館、
その先には、本陣資料館が並んでいます。
でも、朝が早すぎてまだ閉館中。
この先、馬籠峠まで上り詰めたら引き返し、あらためて訪ねることにしよう！
早朝の宿場の道、観光客もまだ少なく静かです。
もうしばらくしたら、喧騒に包まれるのかも。
石畳の両側にはお土産屋さんなどが並んでいるのですが
商いをしていない、一般家庭でも表札と一緒に往時の屋号を表示してあったりします。
史蹟の保全と、現在の生活を共存させる努力が見て取れます。
やがて宿場の家並みが途切れて、馬籠の峠に出ます。 陣場バス停の前。
正面にはまだ石畳の坂道が続きます。
「高札場」の下を抜け更に登ります。これは今で言う掲示板の役目。
江戸の昔、お代官様から庶民へ向けた布達を伝えるためのものでした。
馬籠展望所に出ると、一気に展望が開けます。
ど～んと雄大な恵那山が望めます。
展望所には、馬籠宿の成り立ちや、島崎藤村ゆかりの石碑などが建っています。
藤村の小説「夜明け前」の一場面にも出てくる場所だそうで
本当に木曽路が山の中であることが実感できるでしょう！
「馬籠峠」は馬籠宿からの難所とされ、宿に馬を置いていったことから
「馬籠」と言う地名になったとも伝えられています。
この峠を越え、隣の妻籠宿へと旅は続けられたのでしょう。
陽も高くなってきました。藤村記念館も開館している時刻。
来た道を下っていきます。
